「第5回 淀川体験学習【里帰り放流】」(2007/11/13)
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 「第5回 水生生物採集・飼育体験学習会【里帰り放流】」が11月13日に実施されました。
 大阪府立水生生物センターと共同事業の「水生生物採集・飼育体験学習会(淀川体験学習)」は5回目を迎えました。
次世代の担い手である子どもたちに、水辺に親しむ機会を提供し、水辺の生き物と水辺環境に興味と関心を持ってもらう
ことを目的とした企画です。

内容は3段階に分かれます。

1)【採集】 小学生が魚や水生昆虫など生き物の採集を体験する機会です。
 採集は、淀川左岸の点野ワンドを中心に実施します。

2)【飼育・観察】 大阪府立水生生物センターの協力を得て、広い飼育池で餌やりと観察をします。
 日常飼育は当会スタッフが担当し、小学生は放課後を利用して校区内の大阪府立水生生物センターに
 立ち寄り観察する機会を作れるようにします。平成17年には稚魚観察用水槽が設置されました。
 自分たちが捕獲した生き物の成長を確かめるのは大きな喜びにつながります。
 里帰り放流時は、判別不能の稚魚が成長するにつれて徐々に魚種名が明らかになり、里帰り放流した
 稚魚の多様性を理解することにつながります。

3)【里帰り放流】 秋に成長した生き物を採集地点に返します。(オオクチバス、ブルーギル、コイを除く)
 
 自分たちで採集した稚魚を観察し、その成長過程を教えてくれた魚達に感謝を込めて生まれた場所へ里帰りさせる活動です。 子どもたちの水辺の生き物たちへの関心を高め、自然保護・環境保全についての考えをまとめる事への、大きな一助となると 期待しています。

今回は、本事業の最終ステージ。
春に採集した稚魚を秋まで育てた後、採集した木屋小学校5年生の手で【里帰り放流】を実施した様子を紹介します。

※当会は、淡水魚の安易な放流(メダカ、コイ等)に関しては反対の立場ですが、本事業はプロスタッフ協力のもと、 放流記録を残し、リスクが最小限になるように考慮しています。 採集した稚魚の段階で外来魚ブルーギル、オオクチバス、カダヤシは駆除しています。 コイに関してもコイヘルペスの影響を考え放流対象にしていません。 現段階では、子どもたちの水辺の生き物たちへの関心を高めるために【里帰り放流】は必要なステップだと考えます。
<文章・撮影:新城>
 
過去の記録はこちら ↓
第4回の里帰り放流 へ/ 第3回の里帰り放流 へ/ 第2回の里帰り放流 へ/ 第1回の里帰り放流
 

 
<第5回 淀川体験学習【里帰り放流】>
 
淀川体験学習【里帰り放流】1 淀川体験学習【里帰り放流】2
 
午前10時にスタッフが水生生物センターに集合。魚のパッキングとアルミ階段の組立ての2班に分かれます。
昨日、飼育池から引き上げた魚を袋詰めして、酸素ボンベの酸素を封入、輪ゴムでパッキング。
流れ作業になり作業ピッチも上がります。最後には職人技も披露されるように・・・・。
 
淀川体験学習【里帰り放流】3 淀川体験学習【里帰り放流】4
 
昨日、飼育池から引き揚げた魚は、小さなイケスでキープしていました。
参加児童の人数は100名程度、110個ほどの袋を準備しました。
 
淀川体験学習【里帰り放流】5 淀川体験学習【里帰り放流】6
 
放流場所となる点野ワンドでは、別の班が草刈とゴミの回収を実施しました。
そして児童が水辺に安全に降りられるようにアルミ階段の設置作業を実施しました。
 
淀川体験学習【里帰り放流】7 淀川体験学習【里帰り放流】8
 
放流ポイントも児童が足を取られないように安定した足場を確保。
現場には「淀川体験学習への協力のお願い」という告知文を掲示し、釣り人等への事前の配慮をしています。
 
淀川体験学習【里帰り放流】9 淀川体験学習【里帰り放流】10
 
午前中いっぱいで児童の受入準備完了。児童を迎えるまでの時間を利用して、淀川河川敷の点野野草地区で
子供たちの喜びそうなものを探索。キタテハなどが飛んでいましたが、蝶は写真に収めるだけ。
数箇所でカヤネズミの古い球巣を5個 GET!!(大阪市立自然史博物館へ情報提供済み)
ガガイモをかなり探したのですが、葉っぱはあるけど実がない物ばかりでした。
 
淀川体験学習【里帰り放流】11 淀川体験学習【里帰り放流】12
 
袋詰した魚を児童が取りやすいようにブルーシート上に並べて準備します。
魚は、各袋に10尾前後入っています。
 
淀川体験学習【里帰り放流】13 淀川体験学習【里帰り放流】14
 
展示水槽には、放流する魚(カネヒラ、オイカワ、ハス、ゲンゴロウブナ、ギンブナ、モツゴ等)を展示紹介しました。
カネヒラのオスは綺麗な婚姻色が出ている個体もいました。
 
淀川体験学習【里帰り放流】15 淀川体験学習【里帰り放流】16
 
予定時間になり、遠くから子ども達の足音が聞こえてきました。
小学5年生が3クラス集合しました。
 
淀川体験学習【里帰り放流】17 淀川体験学習【里帰り放流】18
 
開催の挨拶の後、当会スタッフが児童の前に立ち、今回は手作りポスターや写真パネルを利用して 蝶と蛾の違いなど昆虫についてのお話をしました。
 
淀川体験学習【里帰り放流】19 淀川体験学習【里帰り放流】20
 
昆虫の話を聞いた後に、いよいよ児童たちに魚を配布しました。
魚を受け取った児童たちは、友達同士で何が入っているのか見せ合っていました。
 
淀川体験学習【里帰り放流】21 淀川体験学習【里帰り放流】22
 
魚の袋が配布された後、水生生物センター長の挨拶と放流する魚のお話を聞きました。
 
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放流前に、春に採集した稚魚がここまで大きく成長したことを確認して・・・・
みんなでハイポーズ!これで放流準備はOK!!
 
淀川体験学習【里帰り放流】25 淀川体験学習【里帰り放流】26
 
放流場所が狭いので、二人ずつ並んで点野ワンドへ放流します。
 
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毎年の事ですが見ていると放流スタイルもそれぞれ個性が出ます。
慎重に袋を傾けて魚が最後に残ってしまう児童から、ザバッと一気に放流する児童まで様々です。
 
淀川体験学習【里帰り放流】27−1 淀川体験学習【里帰り放流】28−1
 
女の子は魚にも気遣いをしているのか優しい対応が目立ちました。
放流は一瞬ですが、この瞬間に何を思ったのか感想を待ちたいと思います。
 
淀川体験学習【里帰り放流】29 淀川体験学習【里帰り放流】30
 
放流された魚は、点野ワンドに帰っていきました。
来年、たくさんの卵を残してくれるといいのですが・・・。
 
淀川体験学習【里帰り放流】31 淀川体験学習【里帰り放流】32
 
階段の利用状況と、放流ポイントの状況です。階段の両サイドにはサポートが付きます。
放流場所として安全な足場を確保しているのが一箇所だけなので多少並ぶことになります。
 
淀川体験学習【里帰り放流】33 淀川体験学習【里帰り放流】34
 
放流を終えた児童は、展示水槽を覗き込んで何やら話をしていました。
 
淀川体験学習【里帰り放流】35 淀川体験学習【里帰り放流】36
 
全員の放流が完了した後、本年度も当会会長が昼休みに採集したカヤネズミの古い球巣を示して
淀川河川敷には面白い生き物が居る事を紹介しました。話の後、球巣は理科の先生にお渡ししました。
 
淀川体験学習【里帰り放流】37 淀川体験学習【里帰り放流】38
 
カヤネズミの話の後は、毎年児童たちに大好評の「淀川クイズ」です。水生生物センタースタッフの英知を集め、
これができれば淀川の魚の名前が分かると言う優れもののクイズです。正解者は元気に手を挙げます。
 
淀川体験学習【里帰り放流】39 淀川体験学習【里帰り放流】40
 
写真がたくさん掲載された「淀川クイズ」に全員で挑戦します。
魚に詳しくないと大人でも全問正解は難しいかも・・・。
 
淀川体験学習【里帰り放流】41 淀川体験学習【里帰り放流】42
 
稚魚採集時には当会作成の図鑑を配布しており、魚について勉強していたので 難問もクリアしてなかなかの正解率のようでした。クイズが終わり、最後に児童の中から 感謝の言葉のある人と先生から声がかかると多くの児童が起立して感想と感謝の言葉を いただきました。
 
淀川体験学習【里帰り放流】43 淀川体験学習【里帰り放流】44
 
淀川クイズは全てを記入した児童に対して、水生生物センターからプレゼントがありました。
 
淀川体験学習【里帰り放流】45 淀川体験学習【里帰り放流】46
 
児童たちが見えなくなるまで見送り、片付け作業に入りました。
これにて本年度の淀川体験学習「里帰り放流会」は無事終了となりました。
 
本年度の事業も関係者の努力によって無事故で無事に終了しました。
水生生物センターのスタッフ、当会のスタッフ、そして木屋小5年生の皆さんご苦労さまでした。
児童たちの、身近な水生生物に関する知識は大幅に増えていると感じます。 5年生全員で川に入り、稚魚採集をしてから約半年。大きくなった魚とともに 児童たちも確実に成長を遂げたように感じます。 これからも川に足をつけた時の感覚や身近な生き物を大切にしてもらいたいものです。
この経験から自然保護・環境保全のリーダーとなるような人が出てくれば幸いです。
 
 
 
<アンケート集計結果の一部>
 
今回、淀川体験学習の実施後にアンケート調査を実施しました。5年生100名から回答を得ました。

<児童の感想を一部紹介します(原文のまま)>

■放流したとき元気に泳いでいったのでそのまま食べられたりせずに生きてほしいです。
■すごく思い出にのこったし、ぜんぶたのしかったです。クイズは全もんせいかいでうれしかったです。
■すごくたのしかったです。魚のことがわかっていいけいけんになりました。前より生き物が好きになりました。
 あんなに小さかったさかながあんなにでっかくなったのがびっくりしました。
■魚が成長していくのを見ていると、魚がかわいくおもえてきました。稚魚放流と稚魚を水生センターに見にいった
 のと、稚魚採集では、1番初めの稚魚採集が1番、初めてのたいけんでとても楽しかったです!!
■私達がとった小さなちぎょがとっても大きくなっていてビックリした。
 そしてその大きくなったちぎょをぶじにワンドにかえせてよかった。
■いろんな魚が、たくさんいて、あんなち魚が、こんなに育っていくなんて思わなかったのでびっくりしました。
■クイズもすこしみずかしかったけど、いろんな魚のことなどをわかってよかったです。
■ちぎょを取って半年たってあんなに大きくなるんだなと思いました。ちぎょを取るのが楽しかった。
 でもちぎょを取るワンドの海水の上にういている草のようなものが少しうっとうしかった。
■いろんな魚がわかったし、いろんな魚を放流できたし、よかったです。最初に淀川体験学習をした時は、見えない
 くらい小さかったけど放流する時はあんなに大きくなっていてびっくりしました。クイズなども魚のことがたのしく
 わかってよかったです。
■ち魚がピュ-とにげていったのでさびしくなってしまいました。また6年生でもしたいなぁ〜!!
■稚魚放流体験を通して、いろいろな魚や生き物の名前を知れて、なんだか楽しかったです。
■3回も勉強できて良かったです。クイズもできて、おもしろかったです。今まで、ありがとうございました。
■放流する時に魚がとっても嬉しそうに喜んでいた。クイズなどもしてとっても楽しかった。
■放流の時は、魚がすごく大きくなっていて、かわいかったです。あとクイズの時も魚の名前を知れて、
 勉強になったと思います。
■クイズでいろいろな魚の名前が分かりました。べん強になって良かったです。
■淀川体験学習をして、いろいろな魚や虫、植物などに関心をもつようになりました。
 楽しくやらせていただきました。ありがとうございました。
■放流はあっというまに終わって魚がいなくなってさみしかった。
■放流するときうれしかったです。感謝の気持ちでいっぱいでした。

 


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