「第4回 水生生物採集・飼育体験学習会【里帰り放流】」が11月10日に実施されました。 大阪府立水生生物センターと共同事業の「水生生物採集・飼育体験学習会(淀川体験学習)」は4回目を迎えました。 次世代の担い手である子どもたちに、水辺に親しむ機会を提供し、水辺の生き物と水辺環境に興味と関心を持ってもらう ことを目的とした企画です。 内容は3段階に分かれます。 1)【採集】 小学生が魚や水生昆虫など生き物の採集を体験する機会です。 採集は、淀川左岸の点野ワンドを中心に実施します。 2)【飼育・観察】 大阪府立水生生物センターの協力を得て、広い飼育池で餌やりと観察をします。 日常飼育は当会スタッフが担当し、小学生は放課後を利用して校区内の大阪府立水生生物センターに 立ち寄り観察する機会を作れるようにします。平成17年には稚魚観察用水槽が設置されました。 自分たちが捕獲した生き物の成長を確かめるのは大きな喜びにつながります。 里帰り放流時は、判別不能の稚魚が成長するにつれて徐々に魚種名が明らかになり、里帰り放流した 稚魚の多様性を理解することにつながります。 3)【里帰り放流】 秋に成長した生き物を採集地点に返します。(オオクチバス、ブルーギル、コイを除く) 自分たちで採集した稚魚を観察し、その成長過程を教えてくれた魚達に感謝を込めて生まれた場所へ里帰りさせる活動です。 子どもたちの水辺の生き物たちへの関心を高め、自然保護・環境保全についての考えをまとめる事への、大きな一助となると 期待しています。 今回は、本事業の最終ステージ。 春に採集した稚魚を秋まで育てた後、採集した木屋小学校5年生の手で【里帰り放流】を実施した様子を紹介します。 ※当会は、淡水魚の安易な放流(メダカ、コイ等)に関しては反対の立場ですが、本事業はプロスタッフ協力のもと、 放流記録を残し、リスクが最小限になるように考慮しています。 成長した外来魚ブルーギル、オオクチバス、カダヤシは駆除しています。 コイに関してもコイヘルペスの影響を考え放流対象にしていません。 現段階では、子どもたちの水辺の生き物たちへの関心を高めるために【里帰り放流】は必要なステップだと考えます。 <文章・撮影:新城> |
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≪活動支援御礼≫ 本活動は、セブン-イレブンみどりの基金 の2006年度(平成18年度)「環境市民活動助成」を受けています。 助成対象活動:『淀川の河川敷の入り江「ワンド」で稚魚里帰り放流・飼育・観察・放流を行う環境体験学習』 |
<第4回 淀川体験学習【里帰り放流】> |
児童が来る前は準備に追われます。水生生物センターにて、飼育池から引き上げた魚を袋詰めする作業を職場体験
で来所されていた中学生と水生生物センター職員が担当しました。 また、放流場所となる点野ワンドでは、児童が水辺に安全に降りられるようにアルミ階段の設置作業を実施。 |
現場には「淀川体験学習への協力のお願い」という告知文を掲示し、釣り人等への事前の配慮をしています。
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点野ワンドは相変わらず、特定外来生物に指定されたボタンウキクサ(ウォーターレタス)がたくさん見られました。 水面を埋め尽くす事などで、淀川に生息する在来生物に多大な影響を与えています。 |
放流ポイントのボタンウキクサを除去して足場を確保。企画スタッフのミーティングを実施。 役割分担の確認等を行い、児童の到着を待ちます。 |
予定時間よりも早い時間に、子ども達の足音が聞こえてきました。 小学5年生が3クラス集合しました。 |
開催の挨拶の後、当会スタッフが児童の前に立ち、ポスターを利用して 川の流れ方やワンドについてのお話をしました。 |
当会会長からは、配布した図鑑の案内とともに、点野ワンド周辺にある点野野草地区でみられる
カヤネズミの古巣やガガイモ、カラスウリなど魚類以外にも淀川河川敷には面白い生き物が居る事を紹介しました。 トラックの荷台には袋詰めされた魚が放流されるのを待っていたので、話は短めに切り上げました。 |
いよいよ児童に魚を配布します。 一人一袋ずつ魚が入ったビニール袋を手にしました。 |
児童たちは、ビニール袋の中の魚をじっくりと観察していました。 この手にとって観察する時間は、一番身近に魚を感じるなので重要だと思います。 |
魚を受け取った児童たちは、友達同士で何が入っているのか見せ合っていました。 大きな魚が入っているとうれしそうです。 |
水生生物センター長の挨拶と放流する魚のお話を聞いた後、
クラス順に淀川の点野ワンドへ降りていきました。
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慎重に階段を降りたところで、職場体験の中学生がビニール袋の輪ゴムを解いていきます。 これで放流準備はOK! |
はやる気持ちを抑えて点野ワンドへ降ります。 場所が狭いので並んで一斉にというわけにはいきません。 |
放流スタイルもそれぞれ個性が出ます。 慎重に袋を傾ける児童から、ザバッと一気に放流する児童まで・・・ |
放流は一瞬だけど、春に、点野ワンドに足を浸けた時の感覚は覚えているのかな? |
放流する魚に何か声をかけたりしているのかな? |
我先にと駆け付けた男の子たちは、放流ポイントで渋滞中。
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次のクラス、次のクラスと列は続きます。 職場体験の中学生も輪ゴムを外す作業に大活躍。 |
事務机の上には、水槽やカヤネズミの巣などが展示されていたので、順番待ちの
児童たちが集まりスタッフと談笑したりします。
放流が終わり河川敷の階段を昇ったところでは、「淀川クイズ」を配布しました。
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配布した図鑑を片手に、「淀川クイズ」に挑戦します。 |
一人で考える児童、友達と考える児童、いろいろなスタイルが見られました。 |
男の子のグループは図鑑を中心に置いて検討しているところもありました。 |
「淀川クイズ」の答えあわせが始まりました。
正解者は手を挙げています。 |
淀川クイズは全てを記入した児童に対して、水生生物センターからプレゼントがありました。 |
最後に児童の代表者から、御礼の挨拶を受けて「里帰り放流会」は無事終了となりました。
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児童たちが見えなくなるまで見送り、片付け作業に入りました。 |
本年度の事業も関係者の努力によって無事故で無事に終了しました。 水生生物センターのスタッフ、当会のスタッフ、そして木屋小5年生の皆さんご苦労さまでした。 配布した図鑑の効果もあり、淀川クイズの正解率からも、身近な水生生物に関する 知識は大幅に増えていると感じます。 5年生全員で川に入り、稚魚採集をしてから約半年。大きくなった魚とともに 児童たちも確実に成長を遂げたように感じます。 これからも川に足をつけた時の感覚や身近な生き物を大切にしてもらいたいものです。 |