大阪府立水生生物センターと共同事業の「水生生物採集・飼育体験学習会(淀川体験学習)」が4回目を迎えました。 次世代の担い手である子どもたちに、水辺に親しむ機会を提供し、水辺の生き物と水辺環境に興味と関心を 持ってもらうことを目的とした企画です。 内容は3段階に分かれます。 1)【採集】 小学生が魚や水生昆虫など生き物の採集を体験する機会です。 採集活動は、淀川左岸の点野ワンドを中心に実施します。 2)【飼育・観察】 大阪府立水生生物センターの協力を得て、広い飼育池で餌やりと観察をします。 日常飼育は当会スタッフが担当し、小学生は放課後を利用して校区内の大阪府立水生生物センターに 立ち寄り観察する機会を作れるようにします。平成17年には稚魚観察用水槽が設置されました。 自分たちが捕獲した生き物の成長を確かめるのは大きな喜びにつながります。 採集時は、判別不能の稚魚が成長するにつれて徐々に魚種名が明らかになり、採集した稚魚の多様性を理解すること につながります。 3)【里帰り放流】 秋に成長した生き物を採集地点に返します。(オオクチバス、ブルーギル、コイを除く) 自分たちで採集した稚魚を観察し、その成長過程を教えてくれた魚達に感謝を込めて生まれた場所へ里帰りさせる活動です。 子どもたちの水辺の生き物たちへの関心を高め、自然保護・環境保全についての考えをまとめることへの、大きな一助となる と期待しています。 ※当会は、淡水魚の安易な放流(メダカ、コイ等)に関しては反対の立場ですが、本事業はプロスタッフ協力の元、 放流記録を残し、リスクが最小限になるように考えています。 現段階では、子どもたちの水辺の生き物たちへの関心を高めるために必要なステップだと考えます。 今年も、木屋小学校の5年生(114名)を対象に淀川のワンドで春生まれの稚魚採集を体験してもらいました。 ここでは採集の様子を紹介いたします。 <文章:新城、撮影:新城・湯川> |
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≪活動支援御礼≫ 本活動は、セブン-イレブンみどりの基金 の2006年度(平成18年度)「環境市民活動助成」を受けています。 助成対象活動:『淀川の河川敷の入り江「ワンド」で稚魚採集・飼育・観察・放流を行う環境体験学習』 |
<第4回 淀川体験学習【採集】> |
前日、現場に「淀川体験学習への協力のお願い」という告知文を掲示しました。 釣り人等への事前の配慮です。また、児童が水辺に安全に降りられるようにアルミ製の階段も設置します。 事前の天気予報では雨で順延を覚悟していたのですが、当日は曇り空でしたが実施することができました。 |
スタッフが一同に会してミーティングを実施。役割分担の確認等を行いました。 そうこうしているうちに子ども達の足音が聞こえてきました。 |
まず、児童の代表者から「よろしくお願いします」との挨拶がありました。 続いて、大阪府立水生生物センター、水辺に親しむ会、河川環境管理財団の挨拶とお話。 |
当会のスタッフは、魚の絵を描き、魚のヒレの名称当てクイズを作成し、子ども達に各ヒレの名称を覚えてもらいました。 河川環境管理財団からは、田村さんが水質チェックの方法などのお話されました。 |
水辺に降りる前に、自生するノバラやオギ・ヨシなどの葉で手を切らないように実物を見せながら説明しました。 説明が終わると階段を降りて児童を水辺へ誘導しました。 |
ワンドに入る前に深くなっている場所もあるので注意事項をもう一度説明。 説明が終われば網を手に一斉にワンドへ。 |
点野ワンドの一角をぐるりと児童が取り囲みます。 安全確保の為、スタッフが事前にワンドに入り、これ以上行くと深くなるという目印&監視員になります。 |
元気な男の子は、5分もしないうちにビショ濡れ。おもいっきり楽しんでいたようです。 採れた生き物はその場で、スタッフが名前を教えます。 |
女の子のグループは、最初は水に入るのをためらっている児童もいましたが徐々に慣れてくると 次第に入るようになり、にぎやかな声と共に、ヌマエビやヤゴを採っていました。 |
こちらは淀川本流側の岸辺。 カワニナなどの巻貝やイシガイなどの二枚貝もいました。 |
稚魚採集なので、岸辺の浅いところを狙わないと何も入りません。 深い所を探っても何も入らないのですが・・・気持ちはわかります。 |
児童数が多いので一度にワンドに入ることができず、交代でワンドに入ります。 河川敷では環境学習が行われます。淀川の話や水質の話、水生生物の話などをパネルを利用して説明します。 |
時間がくれば、河川敷で環境学習をしてたい組は、交代してワンドへ向います。 後半の組は、稚魚採集をするにはどうしても不利なのですが、それでもヤゴなどの水生昆虫はたくさん採れます。 |
採集する稚魚の数よりもワンドに足を入れ、水の冷たさや足に絡まる水草などの感覚を 体験することが重要だと考えます。新しい発見があるのはとっても面白いのです。 |
網に入った水草を丁寧により分け、入っている生き物を探す目は真剣そのものです。 何か1匹でも入ってると嬉しいんだけど・・・。 |
ワンドでの採集が終わると、河川敷においてある大きなバケツに採集した生き物を入れます。 稚魚観察水槽にも採集した稚魚(シロヒレタビラ)が少し入っています。 |
最後に講評を行い、採集した水生生物の名前などを報告します。 今年は例年になく稚魚が少ない年になりました。 同日、淀川の城北ワンドで、イタセンパラの稚魚が全く確認できなかったとNHKの報道もありました。 オオクチバスやブルーギルなど外来魚の影響もかなり大きいと思われますが、 淀川の水位が例年より低下し岸辺が少なくなっている事も影響があると考えます。 |
小さな稚魚たちも次に児童に合う時は、大きくなっているでしょう。 今年も安全に怪我もなく子ども達を見送ることができました。 |
さて、スタッフの我々には後片付けが残っています。 大型の容器には採集した稚魚が入っています。 |
アルミ製の階段も解体して片付けます。 周辺のゴミも片付けて、河川敷は元よりキレイになったかな。 |
水生生物センターに戻り、稚魚を池に放ちます。 最後に機材、網等の清掃をして終了です。 |
今回採集した稚魚はシロヒレタビラ、フナなどを確認しましたが、昨年よりもかなり魚影は減少しています。 5年生全員が一斉に川遊び。このような規模で魚採りをすることなどあまり無い経験だと思います。 水に足をつけた感覚を大切にしてもらいたいものです。 さて、これで事業が終わったわけではありません。 稚魚採集はスタートであってこれから稚魚の成育を見守り、成長を観察するステップへと入ります。 当会の熟年チームが主体となり餌やりや稚魚観察会など事業運営しておりますので、 興味のある方は御一報ください。 |
<アンケート集計結果> |
今回、淀川体験学習の実施後にアンケート調査を実施しました。 5年生108名(男の子62名、女の子46名)から回答を得ました。 アンケートの中から概要を紹介いたします。 アンケート結果より、83.6%の児童が生き物が好きと答えています。 52.8%の児童が初めて魚とりを体験し、22.2%の児童が初めて川の生き物を触り、 29.6%の児童が初めて川に足をつけたことがわかりました。 この数字を見ると淀川体験学習が児童にとって小学校時代の思い出として心に残る学習になったと考えます。 <児童の感想を一部紹介します(原文のまま)> ■ さいしょはさかななんているのかなぁとおもったけど、いがいといたからたのしかった。 ■ 初めてやった。魚がいっぱいとれてよかった。 ■ 1ぴきもらったけど、1ぴきもとれなかった。 ■ えびがとれたびっくりした。稚魚とりたのしかった。 ■ ヤゴしかとれなかった。 ■ 最初は川に足をつけるのがこわかったけどなれてきたらとても楽しかった。 ■ 川や池にいろんな生き物がいることがわかった。 ■ 魚をさわれてよかった。緑色のヤゴもみつけた。 ■ 川に入るのがいやだったけど、すっごく楽しかったです。ザリガニとかとれたし。また、やりたいなーと思いました! ■ もっとながいじかんでしたかったです。 ■ はじめて川に足をつけて魚をとってすごくたのしかった。 ■ さいしょは、いやだと思っていました。しかし、はいってしまうとむちゅうになって、がんばってとっていました。 ■ 川がつめたかったけどたのしかった。 ■ 最初は、アメンボがきもちわるくて川にははいなかったけど、じかんがたつごとにいきものがかわいいとおもえ川にはいれました。 回答欄に無回答の児童は7名。感想を記入した殆どの児童が楽しい・よかったという印象を持っていました。 |