第9回世界湖沼会議
4分科会ワークショップ概要レポート
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平成13年11月13日(火)19:00〜22:00
滋賀県大津市プリンスホテルにて開催された
第9回世界湖沼会議 4分科会ワークショップ
「淡水域における外来種問題−解決へのみちのりー」に参加してきましたので
概要をレポートいたします。

趣旨は国内では魚類に論議が偏りがちな淡水域の外来種問題について、
貝類や両生類、爬虫類、水草などの生物群も対象として現状を共有し
各水域での生物多様性を保全できる実質的な体制ずくりに向けて討論を
行うというものでした。

座長に村上悟さん(琵琶湖ラムサール研究会)
講演は下記のとおり
1. 中井克樹(滋賀県立琵琶湖博物館主任学芸員)
   「淡水域における外来種の影響」
2. Tariq A.Khan,(University of Ballarat, Australia)
   外来のコイがオーストラリアの淡水生態系にもたらす影響
3. 磯崎博司(岩手大学人文社会科学部教授)
   「淡水域における外来種問題とその解決に向けた歩み」
   〜問題の解決に向けた人間社会側の制度の問題に関する議論

■ 中井先生の講演は、趣旨にもあるように外来生物全般を捉えたお話に
なっており、あえてバス・ギル問題を避けてお話されていました。
外国からの参加者も多かったので、外来種の問題に関心が無かった人でも
何が問題なのかを確認する内容でした。

「外来だから」という理由で排除されるのは問題があり
「無視できない影響を与えており、それを軽減させる」ために排除される
というのが大前提・・・異端者の排除ではない。
大台ケ原でシカが増えた、シカは在来種だし、人間が平地から山へ追いやったのだ。
だから排除するのは可哀相、人間が悪い!といってもそのままだと
シカは食うものが無くなって全体が生きていけない。
在来種であっても適正レベルの個体数までコントロールする必要がある。

他にも勉強になるお話をされましたが、持ち時間が20分と短くて
駆け足でお話されたような形でした。スライドも観る時間なし・・・(^^;

■ Tariq A.Khan,さんの講演は、110〜120年前に放流されたコイ
(日本産とは異なる)が、ここ3〜40年前からオーストラリア全州で急激に増えた。
1962年にビクトリ州で有害種に指定され駆除がはじまる。
コイが増えることによって湖の濁度が上昇し水の華ができる。
水生植物は減り、コイと餌が競合する在来種が減る。コイは卵も食べる。
持ち時間の2倍を使って熱心にお話されていましたが、
定量的にどのうような影響があるのか測りにくいのでコイが原因なのかどうかは
今後の調査を待たないとイケナイという感じの話でした。

個人的には、湖が富栄養化に至る要因は他にもあるように思うのですが
詳細が良く分からないので突っ込めませんでした。
おそらく富栄養化が進み湖の底の無酸素域も拡大して、他の魚の生息場所
が無くなってきているのしょうねぇ。(;;)

最後に、湖のコイは駆除しても肥料にしかならない。しかし、上流では
お金になるからという理由で、同じ外来種であるトラウトを放流するという
相反する行為を人間は行っている。とコメントされていました。
日本も外国も同じ問題を抱えてるようです。(^^;;

■磯崎先生の講演は、外来種問題に関わる法のお話だったのでかなり
難しかったです。インパクトがあったのは、生きている動物の輸入数という表
の解説で、馬、牛、豚、羊、ヤギ、家禽(鶏)、犬、猿・・・以外はすべて
「その他の動物」としてカウントされている現状に唖然としてしまいまいた。
2001年度は8月までで、馬:3203、牛:11346、豚:148、羊:22、ヤギ:0
家禽:636032、犬:3520、猿:4532・・・・・家禽(ニワトリ)が少し多いなぁという感想。

しかし、「その他の動物」729776001。12月までいくと10億越えるそうです。
哺乳類以外は、数の管理もされていないのと同じですね。
尚、上記の数には水産資源は含まれていない数です。

最後に生物保全は、地元の人の支持と理解ができないと、法を作っても法は生きない。
政治家は立法者であるから、彼らに対してもっと声を伝える必要があるのでは。という
内容のお話をされたと思います。

■ポスターセッションでは個人的に興味のあったブルーギルの生態の所でお話を伺っていました。

■総合討論
海外の人が発言する中、私もせっかく参加したのだからということで
無謀にも手を挙げ、マイクの前で意見を述べさせていただきました。
専門家の集まる中、普通のサラリーマンが一般人代表みたいな感じで
まとまりの無い話をしたように思います。

インターネット利用で個人からの情報発信も外来種問題の啓発には有効ではないか。
専門家だけの議論ではなく、一般の人にもわかりやすく説明する必要があるのではないか。
そんなことを喋ったと思います。
私個人としてはこういうのに参加するのは、はじめての事で、言いたい事も喋ったし、
ブルーギルの研究者とお話もできたし、中井先生ともお話ができましたので有意義でした。

報告者:水辺に親しむ会 Web管理人 新城

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